尊敬する作家の草柳大蔵さんの「礼儀覚え書」の一節で、料理をおいしくする三つの要素があるといいます。
1.シェフの腕前 2.空腹 3.会話であるといいます。
彼は楽しい宴会といわれるために政治、宗教のほかにゴルフの話を禁句にしているそうです。ゴルフ発祥の地であるイギリスでは「そこに一人でもゴルフをしない人がいたら、ゴルフの話をしない」ことがカントリー.クラブの鉄則になっていて、これがいま世界のエスタブリッシュの間にも通用しているからとその理由をいうのです。
だとしたら、将棋や歌舞伎、相撲といった日本の古代から伝わる文化についてならよいのでしょうか?
オペラやクラシックの演奏、世の著名人の講演会といったアカデミックな内容のものでは、積極的な会話として取り入れたほうが薀蓄話として題材に適しているのでしょうか?
何もゴルフの話になると、むきになっているのではないのですが、自分のゴルフのスコアーがどうだとか、スイングはこうするともっと飛距離が出るよといった、自己満足の話ではないエスプリのきいた話が山ほどあることもわかってもらいたいのです。
1457年3月6日にスコットランドのジェームズ2世が議会に「フットボールとゴルフを禁止する」という法令を出している文献が発見されているのです。ちなみに1457年といえば日本では室町時代で応仁の乱の始まる10年前で、大田道灌が江戸城を築いた年です。
フッ
トボールとゴルフといえばイギリスが発祥の地として、全世界に誇れるスポーツとして誰もが認めるものです。その2大スポーツをスコットランドの国王が禁止
を命じる法案を提出するくらい、国民には支持されていたと証明することではないでしょうか?そしてこのスポーツは男も女も分け隔ての無いほど好まれていま
した。
メアリー女王に始まりマーガレット妃やキャサリン妃にいたるまでロングドレスを着用してプレーしたと書かれています。
老若男女にいたるまでに愛されている奥の深いこのスポーツを私はあえて自分の失敗談を交えて会話に使わせていただいています。
「ゴルフで得たものはゴルフで返せ」と尊敬されるゴルファーの大半はこの言葉を胸に人生を生きています。
イ
ギリス人牧師がゴルフをプレーした際、常に冷静さを失わない彼にトラブルに見舞われたなら一度くらい自分が牧師だということを忘れて悪タレの一つもついた
らどうだと、「コン畜生」「バカヤロウ!」「くそ食らえ」と言うと、彼は同伴プレーヤーの手を握り「ありがとう」「ありがとう」と目を輝かせて言ったこ
と。
昭和天皇も1922年(大正11年)に駒沢の東京ゴルフ倶楽部で9ホールの親善競技をされているのです。しかもそのお相手は英国の皇太子プリンス.オブ.ウェールズなのです。結果は1アップで英国皇太子の勝利。
後
日談で、陛下が「遠来の賓客を迎えて1ダウンという花も実もある負けかたをしたところに、私の人知れぬ苦労があったのだ」と述べられたのに対し、後のエド
ワード8世は「大差で勝ってはよろしくないので、自分も松林やラフへ打ち込んで苦戦の展開にしたものだ」と語られたのです。
お互いの思いやりのお言葉がとてもオシャレに聞こえて皇室といえども、勝負にこだわる東西の文化を感じます。
こういった類の会話はゴルフを知らない方がいても禁句なのでしょうか?
楽しい食卓の会話はゴルフでもロックンロールでも哲学でもウィットにとんだ話し方と常に品のある爽やかさでおもてなしをするこころ配りの気持ちがあればどんな話題でも楽しいものになるような気がします。